昨年の大晦日

この日の炊き出しの予定は、午前と午後で2か所の仮設住宅でした。
午前中にまず伺ったのは、東松島市にある「ひびき工業団地仮設住宅」

こちらにお邪魔するのは今回で3年連続で3回目になります。
白玉団子作り

お天気にも恵まれ、昨日午前中の亘理町仮設住宅での経験があるので、子ども達も実に昨日以上にテキパキと作業をこなしていきます。
竹輪の磯辺揚げ作り

前回のblogでも書いたけど、今回は今までで一番複数回参加している子どもが多く、その経験者の子たちが初参加のメンバーと協力して作業するので、これまでで一番効率良く作業がどんどん進みます。

しかも中3高3と受験生であるにも関わらず参加している子もいるわけですが、この年末の追い込みの時に自分の為にではなく、他者の役に立つためにボランティアに参加する根性と、その子を送り出したご家族の決断に、本当に敬意を表したいと思います。

自分たちの活動に参加した子ども達だからという訳ではないけど、勉強以外での大切なコトをこうやって自ら学びに来ている子たちは、きっと将来このボランティアで経験したコトが、どこかで役に立つと私は確信しています。
美味しいセコ汁完成!

初めて年末に炊き出しを行った11年の時は、コンロの周りに風除けもなく、その為中々鍋のお湯が沸騰しなくて段ボールとガムテープとブロックで何とか風を凌ぎ、3時間以上四苦八苦してやっとの完成だったけど、この日は2時間ちょっとであっと言う間に美味しい「セコ汁(カニ汁)」が完成しました!

勿論昨日の仮設でやれなかった子たちを選抜して、「子ども宣伝隊」を組織し、仮設住宅を端からは端までローラー作戦で、丁重丁寧にお声掛けして行きます。
宣伝+お話隊

このひびきの仮設住宅は、敷地が4か所に分かれ離れ離れに点在しているので、宣伝隊になってもらった子ども達には、のんびりしているとカニ汁が出来てしまうから、ほぼダッシュで端から端まで800m程走って貰いました。
大盛況!

その頑張りもあり、一番遠くの仮設からも沢山のお住まいの方たちが来て頂き、カニ汁・磯辺揚げ・白玉団子それぞれ約300食分ほぼ全てお配りするコトが出来ました。
お運び隊1

宣伝隊だった子ども達は、そのまま今度はお運び隊になり、それぞれのお家まで運ぶのをお手伝いし、その間に色々な世間話をさせて頂いたりしました。
お運び隊2

我々はこの御話し相手になるコトも、ボランティアとしてとても大切なコトだと分かっているので、事前に躊躇するかも知れないけど、失礼の無いようにお話するのが大前提だが、積極的に色々とお話をする様に伝えてあります。
お運び隊3

私が戻ってくる子ども達に「どうだった!?」とそれぞれ聞くと、仮設の皆さんはお家に入れてくれてみかんを御馳走になったり、お菓子を頂いたりと、逆に子ども達をねぎらってくれて、震災当時のお話をしてくれたり、ご家族が津波でお亡くなりになってしまったお話などを聞きいたみたいで、皆とても神妙な顔つきになっていたのがとても印象的でした。

仮設の皆さんたちは本当に想像を絶する体験をして、今この仮設住宅に住んでいるのに、ボランティアで来た子ども達に逆に気をつかって、やさしくねぎらいの言葉を掛けてくれるコトを、子ども達はそれぞれの胸でちょっとした”痛み”を感じながら、その痛みの意味を考えているのだと思います。

次回「ラストリポート」最終回予定です。

成瀬昌由